イメージの力 神々と祈り
ラテンアメリカはスペイン人に侵略され、キリスト教が入って来た土地だからか、先の悪魔仮面のように、もしかするとキリスト教を愚弄している??と、ついうがった想像を巡らしてしまう。
キリストが張り付けになった十字架には、キリストの頭部と、クギを打たれ血を流したた手足の部分のみが描かれ、胴体や腕や脚が見当たらない。変わりにさまざまな意味ありげな小物が描かれている。足元には頭蓋骨とか。悲劇的な流血場面なのに、こまごまとしたミニチュアを並べているさまは、楽しげですらある。
みんぱくのラテンアメリカの展示品はキッチュで不気味でユーモラスなので、思わず足を止めて見入ってしまう。マジックに満ちた不思議な魅力。異形なあの世的な造形が、まさかの能天気な陽気さで表現されているのだ。ちょっと初期のティム・バートン監督の映画みたいでもある。
クギだらけの人形がありギョッとする。これはコンゴのヨンベ族の呪術人形「ミンキシ」。「えっ、アフリカにも藁人形的なものが・・・?」と思ったが、意外にもホワイトマジックだった。
医療呪術で、呪医がおなかの穴に薬草を入れ釘を打つことで、薬の効果が発揮されるらしい。痛々しいけれど、実は患者の痛みを癒す沢山の祈りが込められた姿だとか。
(合衆国)
カナダや合衆国のネイティブやオーストラリアのアボリジニの描く絵画は、ポップでリズム感に溢れ、デザインセンスが抜群だ。こういうのをグッズにして欲しいなあ。
(アボリジニ)
意外といえば、ロシアの作品も。日本の切り型にも負けない、精緻でハイセンスなレタリングの切り絵があった。でも箱根の入れ子箱がマトリョーシカになっているくらいだから、切り型がロシアに伝わっていても、不思議じゃないかもしれない。
それから復活祭に付きものの、イースターエッグ! 色合いといい、デザインといい、「どうしてくれよう!」といいたくなるくらい素晴らしい。とても殻を割って、中の固ゆで卵を食べるなんてことできそうにない。こまるわー!
(ルーマニア)