法住寺インサイド
次のメニューは「もちつき」だが、しばらく時間がありそうなので、お寺の中に上がらせていただこう。堂内は写真撮影おことわりにつき、画像はなし。
まずは手を合わせてお参りする。
堂内に並べられた授与品のなかには、極めてドメスティックな物品があった。老人サークルでおばあちゃんが手づくりする「洗剤をつけなくても汚れが落ちる、ふしぎな(アクリル)たわし」の大変かわいい形ものや、一時期おばあちゃんの手芸サークルで大流行りした、牛乳パックでつくり布でくるんだ「おばあちゃんの座椅子」などが、ほどよく少量陳列されていた。この「見た目」と、2、3個という「量」のほどよさが、あまりに絶妙なので「ほほえましい商品」にしかみえない。私はまさに、うっかり買おうかと思ったほどだ。(だって使える!)
「商売に走っている」感が露骨にすぎる一部の京都のお寺さんには、ぜひ見習っていただきたいものだ。たとえ本音は金儲けでも、お寺ではその本音は、ひた隠しにしてもらう方が、参拝者としてもうれしい。
そんな枝葉末節な品に目をやっていたが、メインの場所に置かれていた商品に驚愕。
「梁塵香」と言う名のお線香だ!
平安時代のJポップ(ラップか?)ともいえる「今様」を愛して歌った後白河上皇を忍び、現在の法住寺では、10月の第2日曜日に、「今様歌合せ」が行われているそうだ。後白河上皇は、その今様を集め『梁塵秘抄』という本を編纂した。歴史の教科書にも載って学校で習っているくらい有名だ。
遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや 生まれけむ
遊ぶ子供の声聞けば 我が身さえこそ動がるれ
大河ドラマ『平清盛』を見た人なら、耳にタコどころかイカもできそうなくらいドラマ内でリピートされたから、すっかりお馴染みだろう。『梁塵秘抄』の代表曲である。これを内紙に印刷したお線香・・・。これはちょっと油断したらついつい買ってしまうしろものだ。うーん、ここでは、お寺の本音がちょっと(ちょっと??)こぼれているかも(汗)
ほかにも身代わり不動尊をシルエットにした、ありがたーい手ぬぐいのようなものも、あったような記憶が。なにしろキャッチーなんだから。
油断をさそい、隙をつき、参拝者の心を掴むワザは、なかなかだ。できる、できるぞ、法住寺! さすがは「日本一の大天狗」と言われた後白河さんの、御陵を守るお寺である。(ほめ言葉です)