宗泉寺(そうせんじ)の仏像展
2Fでは常設している土器や模型などと、企画展「はやり病を封じる」の物品が展示されていた。そのなかで「特別に展示されている秘仏」3体が、静かに並んでいた。
50センチ前後のやや小振りの仏像であるが、丁寧につくられている。秘仏なので保存状態も素晴らしい。平安・鎌倉に作られたものが、いま現在、千年の時を越えて見ることができる事自体に、奇跡的な時間の厚みを感じる。
平安時代の仏像は、いかにも人智を越えた存在っぽくて、ちょっと上から目線な感じ。やはり「末法思想」による不安が渦巻いていた分、仏像にすがる思いは強かったのだろう。まるっとしたフォルムも、不思議に安定感がある。シンプルな造形も好もしい。(以下の写真はチラシより)
まあ、現代人だって20世紀の終わりには「ハルマゲドンが来る」とか「恐怖の大王が降りて来る」とか散々騒いでたから、千年経っても人間は変らない。いや、千年前よりタチが悪くなっているかも(汗)
この不動明王は鎌倉時代のものらしい。三井寺の秘仏「黄不動」の影響がみられるとか。
炎の光背が無いせいもあるのか、なんとなくフェミニンで二人の脇侍の童子の母親みたいな慈愛を感じる。また童子たちが愛らしい。
毘沙門天さまは、いつの時代もしゅっとした伊達男。彼の奥様は吉祥天だから、お似合いの美男美女だ。なびく袖口もポイント高い。
今年もどうぞムカデに遭遇しませんように、とお願いしておく。軍神、毘沙門天さまの使者は、なんとムカデなのだ(汗)
ムカデが沢山の足で滑らかに歩くように、大勢が心をひとつにして戦いに挑む、という意味で。
他方、財宝や福徳も司る毘沙門天さまの使者がムカデっていうのも、「お足がたくさん」としゃれている(笑)
彼が踏みつけている邪鬼は、写真では不気味だが、実物はもっと剽軽な表情をしていて、個人的にはポイントが高い。
ここには、案内や説明担当のメガネ女子の学芸員さんがいらっしゃった。私の前のご一家が、彼女を独占されて質問攻めだったが、どんな難問にもすらすらとお答えになる。このプロフェッショナルな人に、私も質問してみたかったが、件のご一家が、和やかに詳細な説明付きで、熱心に展示品を鑑賞なさっていたので遠慮し、静かに「はやり病を封じ込める」グッズあれこれを見たり、岡本太郎ばりに顔の付いた土器を見たりした。
その後インフォメーションコーナーで、他の博物館のチラシを物色したのちに、建物を出た。