御影堂
さて、いよいよ今回のメインイベントである特別公開の御影堂へ。
鑑真和上坐像(国宝)が奉安されており、昭和46年から57年にかけて東山魁夷画伯が描かれた、鑑真和上坐像厨子扉絵、ふすま絵、障壁画が収められている。
「特別」なだけあって別料金。でもワクワクしながら列につく。
もちろん写真撮影も禁止。
鑑真和上坐像は、むろん国宝。奈良時代に脱活乾漆(だっかつかんしつ)という技法で作られた日本最古の肖像彫刻。天平時代を代表する逸品。
鑑真和上の不屈の精神まで感じさせる傑作で、今も鮮やかな彩色が残っている。
斬新な東山魁夷画伯の描く襖絵の、「東山ブルー」の海に山に囲まれ、盲目の鑑真座像が静謐に佇む。それをじっくりゆっくりと、遠くから近くから、何度も往復して拝見した。
ドラマチックだ。アリスの「昴」が、そらみみで聴こえてきそうだ。
東山魁夷画伯が奉納された障壁画は、10年を超える歳月をかけ、鑑真和上に捧げた大作。
日本の風土をテーマとして、色鮮やかに描かれた「山雲(さんうん)」「濤声(とうせい)」と、墨一色で描かれた和上の故郷中国の壮大な風景「揚州薫風(ようしゅうくんぷう)」「黄山暁雲(こうざんぎょううん)」「桂林月宵(けいりんげっしょう)」のほか、坐像を収めた厨子の扉絵「瑞光(ずいこう)」も。
これでまたひとつ、長年の念願をかなえることができた。