さらに宝物殿周辺
モチの木を鑑賞したあとは、青空に映える三重塔を見上げる。
江戸時代に焼失したが、平成12年に350年のときを経て、復元された。
ということで、けっこう新しめの塔だ。でも工法は古来からの工法で、壁画も岩絵の具を膠(にかわ)でといたものを使用。四本柱には、32体の天部の神々を、また四方の壁には真言宗の八人の高祖を描いているらしい。
壁画は剥落・劣化しやすいので、普段は内部非公開だ。ということを、今頃知る。
平成の三重塔もさることながら、私の興味はやっぱり石灯籠。
いや、このポップな石灯籠に興味を持ったのは、私だけではない。エッセイストの宮田珠己さんだって、注目したのだ。(「日本全国もっと津々うりゃうりゃ」より「第18回琵琶湖 竹生島波低し」)ハート形の凹みと「やかん」の存在に! やかんの意匠がある石灯籠、初めて見た!
気になって調べてみたら、これ、「善導寺型灯籠」と呼ばれるもので、京都の善導寺にその原形があるそうだ。火袋の面に茶碗、炭斗(さいろ)、火鉢、火著、茶釜、柄杓(ひしゃく)、五徳が彫刻されてきて、茶人の間にこれを模して愛玩する者が多いといわれている。
宮田さんの眼力は、それだけでは済まない。灯籠のてっぺんに「ハクション大魔王のツボ」が乗っかっている事まで見逃さなかった。さすがは宮田さん。白洲正子さんに勝るとも劣らない目利きだ。平伏。
ハート形は「猪目(いのめ)」という火除けの意匠らしい。
おお! こんなところにもハート、もとい猪目が!
赤と緑の対比がうつくしい。