つづきの絵本屋、アゲイン
お金もないが、実は時間もない私は、1時間足らずで民芸館を流していた。民芸館を出て、ふたたび本通りからえびす商店街を通り抜け、倉敷駅に向かう。
でもまだ帰るわけではない。駅の反対側には、2日目のメイン・ポイント「つづきの絵本屋」さんがあり、店主の都築さんにお会いするのだ。
10時半を目標に、炎天下を歩く。あろうことか、またもや迷子になりかけたのだが、郵便配達のお兄さんに遭遇したので、迷いそうになった時点で、道を教えてもらうことが出来た(汗) 難しく考えず、駅からまっすぐ歩けばいいのに、路地に入る時に、わざわざ1、2本違う路地にはいってしまったらしい。
店主の都築さんは、体調がすぐれなかったにも関わらず、にこやかにフレンドリーに対応してくださった。さりげなくカウンセリングされて、お客さんに合うと思われる絵本を選ぶ手腕はさすがである。
でも彼女は商売人ではなく、あくまで自然体。同じ絵本好きとして対等な立場で、会話のキャッチボールを楽しみながら、その人その人にぴったりな絵本を手渡したいという気持ちが、ひしひしと伝わって来る。
「すごく好きな絵本が売れてしまって、その絵本がなくなってしまうのが寂しいんですよね。図書館だったら返って来るんだけど、本屋さんの本は返ってきませんから。って話を友達にしたら、『絵本がなくなって行くのは、売れて行くってことだから、喜ばなきゃ!』って叱られました(汗)」
都築さんのキャラクターがわかる、いい話だ。
絵本は面出しで壁面にぐるりと飾られている。これは壮観だ。(青字をクリックすると、「つづきの絵本屋」さんのHPに行きます。店内の様子がわかりますよ)
しかも店主さんは、紅茶のインストラクターの資格を持っていらっしゃるので、その日にあった紅茶を出してくださった。この日は暑かったので、パイナップルフレーバーのスパークリング・ダージリン。ちょっとトロピカルな感じにしてみました、とのこと。
店内をじっくり拝見していたら、絵本だけではなく、ピンバッジやマスキングテープなど、絵本がらみの超レアなグッズもあるじゃありませんか!! これはもう、自制心がきかなくなるグッズでは。お土産にも最適です!
これらはもともと絵本原画展用に作られたグッズなので、仕入れに至るまではなかなかの苦労をされたらしい。でも「私がお店をする時には、ゼッタイ置こうと思ってましたから!!」と、決意と熱意のほどを見せて、仕入れを実現されたという。私は「せとうちたい子さん」のピンバッジと、スズキコージさん、山脇百合子さんという、両極端なテイストのマスキングテープを購入した。
まだオープンして半年だというのに、全国からお客さんがみえる希有な絵本屋さん。いや、でもまだまだ進化するはず。思わず長居してしまう、近所にあったら日参しそうで、ある意味キケンな(笑)絵本屋さんだ。電車を乗り継いでいくぐらいで、調度いいくらいの、素敵な絵本屋さんでした。
アウトレットショップのPの横手の道をまっすぐ路地に入ると、魔法のように「つづきの絵本屋」さんが現れます。
私が都築さんの見立てで購入した3冊。武田美穂さんの井上ひさしさん、似すぎで笑えるほど。シリアスな内容なのに、美穂さんの絵がかわいすぎて、子どもたちの言葉が楽しすぎて、するすると胸に入ってくる。都築さんのチョープッシュ、大人にこそおすすめ、岡田淳さんの人生絵本。関西感性爆発の長谷川節炸裂なたこやき絵本。素晴らしいチョイスですよね。