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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

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長浜会場の観音様

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 予想としては、長浜会場にはキレイどころを配し、高月会場にはマニアックでレアものを並べる感じかなあ・・・と考えていた。この時点で、私は「湖北の観音」展をまだまだなめていたのだ。

 たしかに長浜会場の仏像の方が大きくて立派で、普通にイメージする「かんのんさま」的なものもあった。しかし、入口から幾つ目かで、なんだか「やさぐれ具合」がハンパない観音さまがいらっしゃるのって・・・「おみそれいたしました!」というしかないな。平安時代作の木像十一面観音立像(菅山寺/蔵)だ。

 頭に刺さったかのごとき面面は、なんだか人形浄瑠璃の頭が片付けられているみたいに、適当に配置されているし、三白眼のうえ、唇はややひんまがって「へっ!!」と毒づいてるかのようだ。蓮の花が消失したらしき左手のツボは酒とっくりにしか見えず、右手にぶら下げたホンモノのお数珠は、いやいや触っているみたいに見える。

 こんなやさぐれた仏像を見たのは、初めてだ!しかも平安時代という古からずっと「やさぐれて」おられるのだ。ある意味、大感動である。これはこれで、なにか常人には計り知れない、ありがたい意味があるのかもしれない。

 とはいえ、普通に白鳳時代の面影がある木像聖観音立像(来現寺/蔵)のシンプルな美しさや、石道寺蔵のすばらしいプロポーションの十一面観音さまたちの優美さに感嘆したりもするのだ。戦乱中は土の中や川の中で保管されたため、アバウトなアウトラインしか残っていない「いも観音」の不思議な存在感にどきどきしたりも。

 竹生島にある宝厳寺蔵の木像聖観音立像も、静謐をたたえつつ希求する表情で、非常にシンプルビューティーだったな。

 黒いマリア像のように異色だったのが、薬師堂(乃伎多神社)蔵の木像聖観音立像。黒い外見に金色の冠を被り、その両端に垂れた長い房は、手のあたりで直角に外側へ曲がって棚引いている。細長い天衣がいきもののようにうねっている。独特だ。ちょっとコワいかも。

 素朴で木の地肌がみえている、すっきりシンプルな木像馬頭観音立像(横山神社蔵)は、図録で見たH氏の一等のお気に入りだ。私も現地で何度も繰り返し見た。見飽きない。

 まず馬頭観音だから、当然観音のあたまには馬が乗っている。でも首がなくかわいい耳と歯を剥いた口だけ。「チキチキマシン」のケンケンの笑い声が聞こえて来そうな馬なのだ。

 しかも両手は「いなかっぺ大将」の主人公がピンチに立ちしょんぼりしたときのクセのように「どぼじて・・・」と人差し指の腹をなんとなく合わせている。もうアニメ大会だ。

 

 三面六臂ながらずんぐりすっきりした様子は、なめらかに洗練された円空仏のように素朴。ホント見飽きません。

 彼の隣も馬頭観音さま(徳円寺/蔵)だが、こちらはスマートで厳めしく優美といっていいほど。でも怒りのあまり踵立ちされて、足の裏をお見せになっていらっしゃる。こういう方も珍しい。

 入館料は400円。安い!! しかも高月会場の歴史民俗資料館から回れば、長浜城の20%オフ券だってもらえる。

 長浜市虎姫町には元三大師の故郷なので、ゆかりの元三大師御籤(みくじ)の展示だってあるし、天守閣の展望台まで登って琵琶湖のパノラマを楽しんだ後、学校からの(修学)旅行で流行った、記念メダルに自分の名前や日付を刻印したりもできるのだ。なんてお得感てんこもり!

 ミュージアムショップには、戦国大名手ぬぐいとか渋いものもあるので、歴女にもおすすめだ。

 期間は10月14日まで。あと2週間なので、いそげいそげ!