初瀬商店街復路
おみやげ解禁になった女子は、水を得た魚といっていい。得意技はフリースタイルの三人は、見事に個人行動を取りつつも、団体行動もギリギリ崩さない。団体といっても団体割引もきかない人数だけど。
まずは「鹿サイダー」と名物「草餅」だ。草餅に関しては、お店によって微妙にお値段も、もしかしたら味なんかも違うかもしれないが、とりあえずは、少なくとも私が小学生のときからお店のスタイルを変えていなさそうな「ぼたん堂」のおばあちゃんから購入。
サイドからみると、渋いのだが。
この昭和40年代あたりの、手書きの雑然さが何とも懐かしい。
そして「草餅」の波間から、唐突に現れる謎の「鹿サイダー」。くらくらするよ、ほんと。この唐突さが、問答無用な催眠商法となる(笑) なぜか買わないと、損した気になってしまうのだ。
帰宅後、おばあちゃんのお勧めの食べ方、ちょっとだけ焼いたら、草餅はがぜん美味しくなった。
「鹿サイダー」は、その名の通り、謎の味だった。柿酢を加えた健康炭酸飲料みたいだった。
お土産は、珍しく「ぼたん堂」さんで終了したが、初瀬商店街は、そのあとも見どころは多かった。
たとえば、西国三十三カ所の札所に番外がある、とか。
他の場所でも見かけた、きらきらと回るサン・キャッチャーのような軒先の装飾品が、
実は、空き缶で作られていたものだとか、
ちいさなカフェに貼られたシンプルな張り紙が、
長谷寺の「だだおし」は節分の行事として有名だから、節分の名残がきれいに保存されているお家があるとか、
商店街の街灯にも、長谷寺の紋が入っているとか、
長谷寺でも見なかったような、鮮やかな紫陽花が民家の軒先で咲いていたとか、たくさんの楽しいものを見た。
商店街のはずれからは、上り坂につぐのぼり階段となり、命からがらロータリーまで、どうにかたどり着く。電車の時間より10分の余裕をもって駅に到着。地元の中高生たちと合流する。素朴ないい子たちだ。
こうして初めて結成された花のトリオの長谷寺詣は、ふたたびこの地を踏みそうな予感を孕みつつ、無事終了したのだった。めでたし、めでたし。