以前の「紙魚子の小部屋 パート2」はこちらhttp://blog.ap.teacup.com/tanukitei/から、 その前の「紙魚子の小部屋」はこちらhttp://ivory.ap.teacup.com/tanukitei/から。

紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

織田作之助ワールドへ。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 昨夜はNHK総合で20時から、『オダサクさん、こんにちは 〜生誕100年織田作之助ワールドへ行こう』という番組を見た。言わずと知れた21時からのオダサク原作ドラマ『夫婦善哉』の豪華な番宣の特番だ。

 女優の佐藤江梨子さんが案内役で、オダサクゆかりの店・大阪のうまいもん屋を巡ることから始まる。サトエリの食べっぷりが素晴らしく、見とれてしまった。熱々の味噌おでんの大根を一口でほおばるのが、いさぎよく、そしてことのほか美味しそうだ。

 彼女の案内は、心からオダサク愛があって、見ていて心地いい。その上、オダサク愛なら負けまへんで!と参戦する作家の西加奈子さん、町田康さんが、素晴らしい『夫婦善哉』読解と『織田作之助』解説をされるので、ますます豪華な番宣になり、もちろんひきつづき『夫婦善哉』をみてしまう。

 森山未來のダメ男@柳吉と、尾野真千子のしっかりもの@蝶子のカップルは、もう見るしか無いでしょ。気持ちの上では前々からスタンバイしていたが、ドラマ直前にしっかり予習をさせていただき、準備万端でテイクオフ!だった。

 西加奈子さんの『夫婦』論があまりに素敵だったので、ちょっと記しておく。

 ふたりで店を出すんやて夢もって、爪に灯ぃ灯すように溜めた蝶子の貯金を、柳吉が勝手に持ち出してしまうやろ。二日間放蕩三昧で帰って来たとき、蝶子が柳吉をしばき倒すやろ? あそこの場面、めっちゃええ! 蝶子が何もいわんと見逃すような、耐え忍ぶ女やないから、柳吉が救われるんや。耐え忍ぶ女やったら、柳吉はもたへん。

 私の友達の親で、すごい素敵なご夫婦がいらっしゃるんや。お父さんはすごいええ大学出てるインテリなんやけど、仕事はせんと部屋の隅で静かにニーチェとか読んでるようなヒトなん。お母さんが働いて一家を支えているんやけど、なんてゆーか。がさつで鈍感な人なん。しかも体格がええ。お父さんの2倍くらいあるのん。

 そのお父さんが、たまにふらっといなくなるんやけど、一週間ほどしたら、こっそり戻ってくるんや。そーっとそーっと家に入るんやけど、それを見つけたおかーさんがおとーさんに馬乗りになって、ボッコボコにするんですわ! だから怒りが後を引かへん。お互いに無い物を相手が持っている夫婦で、しかもそのバランスが絶妙で、素晴らしい夫婦やと思うんや。

 聴いていた佐藤江梨子は「え?カラダが2倍もあるおかーさんが馬乗り!?」「私は男にしろ女にしろ暴力を振るう人はダメです」とまっとうな意見を言ってくれるのだけど、西加奈子さんはニコニコしながら、パワフルで真証なおしゃべりを繰り広げてくれる。

 うーん、やっぱり西加奈子さんはええなあ〜。彼女は佐野洋子さんの衣鉢を継ぐ人かもしれない。