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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

日本民芸館

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 ときどき小走りになりながら、日本民芸館へ急ぐ。文学館の矢印看板があった場所に戻れば、別方向に向かう民芸館への矢印看板があったから、幸い迷うことはない。でも地図でみたとき思ったよりやや遠くて焦った(帰りはそうでもなかったのだけど)。

 突如目の前に現れる、洗練された変わりナマコ壁と虫籠窓。

 なるほど、ここだね。日本民芸館のサイド面。

 そして正面へ。旧館および道路に面した石塀は、1999年に国の有形文化財に登録されている。木の看板が民芸館らしい。

 入口までのアプローチにも、あれこれな見どころが。

 柳さんのコレクションなのだろうか。白洲正子さんの住居だった「武相荘」にもお庭に石仏があるらしいけど、石仏のコレクションをされるとは剛胆だ。

 火鉢をなにかにリサイクルされているのだろうか。模様もかわいいし、色合いもしっくりと馴染んでいる。竹の覆いもマッチしている。

 今期の企画展は「美の法門」。仏教と縁の深い所蔵品を軸に構成している。とはいえ、奈良博のようなバリバリの仏教美術ではなく、そこは「民芸」。大津絵のもととなった、庶民のための仏像の掛け軸、阿弥陀如来図や釈迦三尊の来迎図など、私が好き過ぎる展示品が♡ 素朴でチカラのぬけた感じが、逆にストレートに「救い」と直面しているようで、ほのぼのする。

 

 ということで、蓮の鉢なのだろうか? 冬場なので枯れているけど、それなりの風情。

 紅梅がちらほらと咲き始めていた。青空が目にしみるよう。

 本館に入ると、重々しい木の階段がある。中央から何段か登ってから左右に別れる大胆な構造。ミホ・ミュージアムに行ったことのある人なら、ショップの前からわくわくしながら上がって行く大理石の階段の形状と同じ、といえばわかっていただけるだろうか。(中の様子については民芸館のHPにてご覧ください)

 1100円のチケットを購入してから、いきなりチケット売り場横のショップに吸い込まれる。手が出そうなのは棟方志功の手ぬぐいや絵葉書ぐらいで、器の類いはビンボー旅行者には、ちょっと手の出ないお値段だった。品よくセンスよく「民芸」を演出してあるけど、日常使いの生活雑器の中に美を見出す「民芸」ではなく、作家物にスライドしている。

 むしろ大阪日本民芸館の方がスペース的にも充実しており、お値段的には民芸寄りかもしれない。職人さんの名前も全面に出してある陳列だったので、お気に入りの職人さんを個人で応援することもできる。

 今回は木喰の仏像と、棟方志功の走る!阿修羅像と、大津の歴博にすらない大胆な三味線を弾く鬼の大津絵の絵葉書を購入。

 大好きな木喰や円空の木のほとけさまたちを何点か見られ、大津の歴博で観た大津絵展以来の、阿弥陀如来や三尊来迎図の掛け軸を見て、相変わらず「これ、欲しい!!」と熱烈に思い、むちゃくちゃ見たかった「築島物語絵巻」の脱力さ加減に思わず「これ、これ!」とにんまりした。柳さんて「かいらしいもん」が、好きやったんや!と、企画展を見てつくづく思う。

 その照れ隠しに「民芸」という思想を打ち立てたようにも思えて(もちろん本人は気づいていないが)、可笑しい。もしかしたら白洲正子さんが「民芸」にムカついたのは、「なんでもっと自分に正直になれんのか!」という部分だったのかも(笑) 柳さんと正子さんの好みがなんとなく近いというのも、さらに正子さんのムカつきの火に油を注いだようにも想像されて。正子さんは理屈つけずに「好き!」「欲しい!」がストレートだったからね。以上、柳さんへの愛をこめた妄想と暴論でした。  

 建物自体にも見るべきものがあり、あえて戸外に出してある水盤や壷なども、大胆な展示方法だ。白い木綿の布に藍でゆらりと波打つような模様に染めたカーテンも、「さすがは民芸館」という素敵なもの。ほこほことした凹凸が温かみのある紬のカーテンもあった。館内のものは、すべからく温かく微笑みを誘う、優しいものたちでいっぱいだ。

 

 道を隔てた向いにある西館へも行った。日本民藝館開館1年前の1935年に完成、母屋の設計は旧館と同じく柳宗悦

 72歳で没するまで、宗悦が生活の拠点とした建物である。こちらは駆け足で見てから、駒場の駅へダッシュした。