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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

乙女心炸裂!

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 「えき美術館」で現在開催中の展示は、

『高橋真琴の夢とロマン展−少女達の瞳が輝く時−La petite princesse de Macoto』である。

 このおめめキラキラでレース&リボン&ドレス&お花&ジュエリーという乙女チックさ加減が、これでもか!!という炸裂のチラシやポスターの絵に魅入られるように、この展覧会に集まったのは60〜70年代に少女だった方々がほとんどの模様。しかも60歳なかばと思われる二人連れの女性は、次の絵に移る度に、アツく語る語る!!

「わぁ、可愛らしい〜!! これ見て、この花がいっぱいなこと! このドレスの赤の色なんて、ちょっと見た事無いくらい可愛らしいわぁ〜♡ もう、すばらしい〜♥ ああ、日本の女の子もええなあ〜! 一寸法師の絵、最高や! ショップにあったら、絶対買お!」

「ほらほら、これ、この色のバランス加減なんか、絶妙やんか〜。 あ、私この表紙の雑誌持ってた記憶がある! なつかし〜〜!」

という調子である。

 そしてこれは、年代が違うとはいえ、そのまま私のハートの掴まれ具合を、そのまま言い表していたりするのだ。よって、彼女に共感の嵐だったりする。会場を進むうちに、ハートはどんどんタイムスリップして、70年前後(小学生だった頃)、高橋真琴キャラにうっとりだった自分へと遡る。

 彼、高橋真琴(そう、男性です!!)の少女絵は、少女雑誌のイラストや表紙、少女漫画のみならず、スケッチブックの表紙やショウワノートの表紙にもなり、多くの少女をうっとりさせたのである。ほかにも色鉛筆、筆箱、下敷き、水筒、靴などにもプリントされている。水森亜土内藤ルネが活躍した時代でもある。

 でも私が一番お世話になったのは、やっぱり小学館の「小学○年生」でのお話についたイラストと、付録でついたペーパードールだ。ペーパードールは、首の部分が一番細くて壊れやすいのだが、その首が折れるまでひたむきに遊んだものである。もしかしたら首をセロテープで補修していたかもしれない。

 とにかく、その時代の少女達の周りには、あたりまえのように、いつも高橋真琴グッズがあった。今のキティやスヌーピーと同じくらいの自然体だが、持ち主の思い入れはかなりなものだったような気がする。

 高度成長期に入りつつあったとはいえ、海外は「夢の国」だったし、海外製品は「舶来もの」と高級品だったし、品物だってさほどの種類はなかった。そこに金髪の美少女、ふんだんの小花がちりばめられ、レースやリボンや宝石のついたドレスの数々である。女の子の夢の世界なのだ。

 でも彼は、たんにレトロな懐古趣味だけの方ではない。なんと画業50年の今も現役で、新作を発表されている。90年代から21世紀にかけての作品も展示されていたが、もうほとんど「少女の神様」といいたいくらいな、鳥肌ものの完成度である。私に少女魂というものがあるとしたら、絵の中に吸い込まれてしまいそうなほど圧倒された。

 それとともに、高橋真琴というおじいさんの、ピュアで繊細な優しさがまじかに感じられ、それに包まれてとても優しい気持ちになる。まさにふたたび高橋真琴の洗礼を受けたような感じ。「あこがれ」というものを、ふたたび見いだした感じ。

 出口では彼の絵本や絵はがきのみならず、中原淳一の本はまだしも、関連商品としてロマンチックな花柄のあれこれまで並べられていた。さすがに関連商品の棚は閑散としていたけれど、MACOTOグッズを選ぶ女性達の熱気は、ハンパじゃなかった。

 薔薇をかたどったチョコレートが彼の絵が付いたハート型の箱に入った商品なんかは、すでに完売状態。私は冷静さを取り戻すべく「落ち着いて、落ち着いて。家に帰ったら馬車がかぼちゃに戻るから」と売り場をぐるぐる回りながら、自己暗示をかけまくっていた(笑)

 しかし、いま私はやっぱり後悔している。ああ、やっぱり紙の着せ替え人形セット、買っておくべきだったと!